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市民ソーラー宮崎 中川修治氏紹介させて下さい 2013 1月 6日

家庭用太陽光発電をFITで支える場合の経済効果、お金の流れ

日本国内に設置されている昨年度末で設置されている家庭用太陽光発電(余剰電力としてしか見られていない)の社会的経済価値評価を計算して見た。

考え方の基本は、全量買取り法の趣旨に沿って、設備投資した資金が確実に回収される買取り価格で派生電力を全量評価したらと言うものである。利益率の上乗せは敢えて行わない。

これまでに日本国内に設置された家庭用太陽光発電の総設備容量が年間生み出す電力
400万kW×1000kwh=40億kWh
家庭用太陽光発電が全量経済評価された場合の総額(設置年度で本来は計算だがここでは平均値で・・・、本当は初年度140円/kWhで最新のものは35円/kWh程度)
40億kWh×42円/kWh=1680億円

※但し、家庭用は余剰電力評価の為、実際に電力企業経由で支払われて可視化されるのはこの半分から6割程度。840億円~900億円

※自家消費されることで節約分とみなされる電力の経済価値は半分の20円/kWh程度なので、420億円程度が国民経済の視点から見ると家庭部門から失われている計算。これが、減価地域通貨で支払われるなら年間1680億円の経済効果が見込まれる。これは年々増えて、支給方法を工夫することで最大1兆円程度の経済効果を地域社会に齎す事が出来るだろう。さらに経済の乗数効果を考えれば3兆円ぐらいになる・・・。

でここまでの家庭用太陽光発電の費用は全量買い取りにされる事は無かった。全量買い取りになっても10kW以下は余剰買い取りだ。で、今年2003年3月までに設置の分の余剰電力買い取り費用の請求は各電力別に翌年に請求が来る事になっていて、この6月分までの回収が終わってからは、全量買い取りでもないのに再エネサーチャージ費用の為の賦課金として事前に回収されると言うことになっている。

一方、全量買い取りのサーチャージ分の原資として新たに加わった国民負担、これは平均家庭で月に80円年間で約1000円と言われている。(家庭用などの余剰分のみの買い取りも7月分以降はここに組み込まれる)
0.22円/kWh×1兆kWh=2200億円
この殆んどは、押し並べて電力需要家の全員に掛かるのだが、その資金の流れはこれまで電力企業に流れていた電力価値分のと40円(税別)の買い取り価格の差額分を補てんする分のお金がメガソーラーなどの設備投資を行ったものに支払われる。

※0.22円/kWhについては大電力を事業用に使う企業の負担軽減のために免除措置が有る。電炉業界などの産業の国際競争力を維持する為だと言う。

さらにこれは電力料金の明細には書かれていないが、殆どが原発の為に使われる電促税がある。これには免除措置は無い。
電源開発促進税 0.375円/kWh ×1兆kWh= 3750億円
原子力発電を止めればこの大半の資金はサーチャージ会計に回せるだろう。これで新たに再エネを促進するからと国民負担を増やす事は無い。

※1兆kWhは日本の全電力消費(平成22年はこれより多く、23年度は低い)この位の総需要と見られる。電力料金として支払われる金額にすると17兆円ぐらいになる。これは国民一人当たりに換算すると一人1カ月に1万円払ってると見ても良い。

http://www.enecho.meti.go.jp/saiene/kaitori/dl/setsubi/201209setsubi.pdf に今年9月時点での導入実績が公表されている。ここで10kW以上のものでも特に規模の経済が働く物にも40円/kWhという高額の買い取り価格が保証されることで、同じ国民全体の費用負担で設置される容量は少なくなってしまう。むしろ150万キロワットとされている家庭用の買い取り価格を35円/kWhで全量20年間とする方が国民経済的に見てより資金が実体経済を潤すことになるのは間違いない。

さらに付け加えるなら、過去設置者については設置年度毎の発電原価(15年で金利3%程度で減価償却できる価格)を20年程度保証すれば誰もが自己負担で余剰接続を全量接続に変更するだろう。ただ、過去設置者は多くの場合、補助金を受給してるので、その分の返還してもらう必要が有る。これも、全量買取りを望む場合はそうするが、余剰買い取りで良いという場合はこれまで通りとすれば良いだろう。余程、沢山設置時に補助金を国や自治体、電力企業などから貰ってる場合以外は全量買取り制度へ変更する筈である。そして、それによってどれだけ確実に、地域や社会に貢献してるかが可視化できるのだ。

安易に補助金をばら撒き、個人資産の積み上げなんぞを行わず、こうした可視化をこそサポートするのが地方自治体行政の役割だと思う。