お知らせ

飯田哲也氏 エネルギー進化論その4 2012 1月23日

エネルギー進化論.jpg環境エネルギー政策研究所飯田哲也所長.jpg批判④自然エネルギーは産業経済的にマイナスだ。
自然エネルギーを導入すると、その負担のために電気料金が高騰するだけでなく、電力供給が不安定になるために、日本企業は海外に逃げ出さざるを得なくなる。
また、再生可能エネルギー全量買い取り法によって、仮に国内におおきな自然エネルギー市場が生まれたとしても、中国などの低コスト製品が市場を席巻するので、国内企業には殆どメリットは無く、国内には雇用もほとんど生まれない。
<④への反論>
自然エネルギーはエネルギーコストを安定させ、グリーン・エコノミーを創ります。
自然エネルギーの最大のメリットは、急激に変動する加背は燃料とは違って、エネルギーコストを長期固定出来る事によって、化石燃料の価格変動のリスクを小さくできる事です。
また、自然エネルギーのような小規模分散型の電源が無数にある方が、大規模集中電源に比べると、安定供給上も有利なのです。かつて、京都大停電(1999)を引き起こしたのも、下はと言えば、高浜原発の自動停止が引き金でしたし、トラブル隠しによって東京電力の16基の全原発が停止命令を受けた2003年、中越沖地震の直撃を受けて全停止した柏崎刈羽原発(2007)と、いずれも原子力発電が、いっせいに止まることによって、引き起こされた供給不安でした。そして今回の東日本大震災では、実際に「計画停電」が行われ、企業の精算活動にも市民生活にも多大な影響をもたらしたことを再確認する必要があります。
再生可能エネルギー全量買取法による電気料金の上昇や安定供給への影響は、企業の負担も安定供給もいずれも大きな問題にはなりません。
確かに、今の日本の電力供給に対して、企業が不安や不満を持っていることは間違いありません。その不安や不満のはけ口として、自然エネルギー拡大や原発が再稼働できないことに矛先が向けられているようです。事実をしっかり見極めると、途中で論理がすり替わっている事が判ります。
にも拘らず、「海外に逃げる」というもの言いは、正確でも誠実でもないと思います。海外進出する企業の理由の多くは、人件費と税率・関税等が占めています。企業の電気料金の負担は、製造品出荷額の1.3%程度に過ぎず、電気料金の値上げが企業の競争力に致命的な悪影響を及ぼす水準ではなく、省エネ投資によって一層のエネルギー効率化を高める事で、競争力を高める事で可能です。もう少し、事実に基づいて、冷静で誠実な議論をする必要があります。