お知らせ

飯田哲也 エネルギー進化論その5 2012 1月23日

エネルギー進化論.jpg環境エネルギー政策研究所飯田哲也所長.jpg批判⑤自然エネルギーも環境を破壊する。
自然エネルギーといえども、環境破壊を引き起こす。風力発電は、野鳥等の自然の生態系を大規模に破壊するし、低周波や景観破壊等で、にんげんせいかつにも悪影響を及ぼす。太陽光発電も使用するさまざまな希少金属による環境破壊や使い終わったパネルも膨大な廃棄物になる。また、地熱発電は地下から様々な環境汚染物質を掘り出すため、やはり環境汚染を引き起こす。
かつて原子力発電も夢のエネルギーとして期待されたが、今のような状況に陥った。自然エネルギーも同じ過ちを繰り返すのではないか。
<⑤への反論>
自然エネルギーだけが持続可能なエネルギーです。
先ず第1に確認すべき最も重要な原則に、「持続可能性」(サスティナビりティ)という考え方。平たく言えば、「今の文明の豊かさを永続的に保つ事ができる社会」です。その考え方の中心は、南北間の格差を解消しながら、同時に今の世代と将来世代との不公正も生じないような環境とかいはつのあり方を目指すという思想です。それをエネルギーに適用すると、「再生可能エネルギーと資源を再生可能な範囲で利用する社会」を目指す事が第一原則となります。

飯田哲也氏 エネルギー進化論その4 2012 1月23日

エネルギー進化論.jpg環境エネルギー政策研究所飯田哲也所長.jpg批判④自然エネルギーは産業経済的にマイナスだ。
自然エネルギーを導入すると、その負担のために電気料金が高騰するだけでなく、電力供給が不安定になるために、日本企業は海外に逃げ出さざるを得なくなる。
また、再生可能エネルギー全量買い取り法によって、仮に国内におおきな自然エネルギー市場が生まれたとしても、中国などの低コスト製品が市場を席巻するので、国内企業には殆どメリットは無く、国内には雇用もほとんど生まれない。
<④への反論>
自然エネルギーはエネルギーコストを安定させ、グリーン・エコノミーを創ります。
自然エネルギーの最大のメリットは、急激に変動する加背は燃料とは違って、エネルギーコストを長期固定出来る事によって、化石燃料の価格変動のリスクを小さくできる事です。
また、自然エネルギーのような小規模分散型の電源が無数にある方が、大規模集中電源に比べると、安定供給上も有利なのです。かつて、京都大停電(1999)を引き起こしたのも、下はと言えば、高浜原発の自動停止が引き金でしたし、トラブル隠しによって東京電力の16基の全原発が停止命令を受けた2003年、中越沖地震の直撃を受けて全停止した柏崎刈羽原発(2007)と、いずれも原子力発電が、いっせいに止まることによって、引き起こされた供給不安でした。そして今回の東日本大震災では、実際に「計画停電」が行われ、企業の精算活動にも市民生活にも多大な影響をもたらしたことを再確認する必要があります。
再生可能エネルギー全量買取法による電気料金の上昇や安定供給への影響は、企業の負担も安定供給もいずれも大きな問題にはなりません。
確かに、今の日本の電力供給に対して、企業が不安や不満を持っていることは間違いありません。その不安や不満のはけ口として、自然エネルギー拡大や原発が再稼働できないことに矛先が向けられているようです。事実をしっかり見極めると、途中で論理がすり替わっている事が判ります。
にも拘らず、「海外に逃げる」というもの言いは、正確でも誠実でもないと思います。海外進出する企業の理由の多くは、人件費と税率・関税等が占めています。企業の電気料金の負担は、製造品出荷額の1.3%程度に過ぎず、電気料金の値上げが企業の競争力に致命的な悪影響を及ぼす水準ではなく、省エネ投資によって一層のエネルギー効率化を高める事で、競争力を高める事で可能です。もう少し、事実に基づいて、冷静で誠実な議論をする必要があります。

飯田哲也氏 エネルギー進化論 その3 2012 1月23日

エネルギー進化論.jpg環境エネルギー政策研究所飯田哲也所長.jpgエネルギー進化論その3です。
批判③自然エネルギーは非現実的だ。
自然エネルギーは高コストで安定供給できないばかりでなく、そもそもそれだけの自然エネルギーを日本に現実的に導入する事は、スペース的にも不可能である。例えば風力発電をお互いに干渉しないように設置するためには、最低でも100mずつ離す必要があるから、100万KWの原発一基分の風力発電を直線に並べれば177Kmになる。ざっと東京〜いわき間の距離だ。原発40基分となると、この40倍だから7000kmで、北海道の稚内から鹿児島の指宿を結ぶJR線の距離が約3000kmなので、風車が列島を南北に1往復する計算になる。これが全く非現実的である事は明らかだ。
また、太陽光発電も、100kwの原発1基分を発電するためには、面積で言うと山手線の内側全てにパネルを設置しなければならない。日本にその数十倍もの土地があるか疑問だ。従って、自然エネルギーはせいぜい補完的な役割を担うだけで、現在社会を支える基幹エネルギーにはなりえない。自然エネルギーは夢想家のいだく空論に過ぎない。
<③に対する反論>
太陽エネルギーは人類が使うエネルギーの1万倍もの膨大な量が降り注いでいます。
日本では、あまりにも自然エネルギーの普及が立ち遅れているので、基本原則や基本常識を無視した乱暴な議論が横行しています。この批判はその典型的な例と言えます。ます゜、最も重要な事実として、自然エネルギーは膨大にあります。自然エネルギーの中心である太陽エネルギーだけでも、人類が使用する化石燃料と原油のおよそ1万倍もの膨大なりょうが降り注いでいるのです。そのわずか一万分の一だけで、世界全体を自然エネルギー100%に転換できるのです。
これに対して、自然エネルギーはエネルギー密度が薄いので産業的には使えないと言う批判もあります。しかしエネルギー密度は実は関係ないのです。電力、温熱、燃料という二次エネルギーに変換出来さえすれば、自然エネルギーであろうが、化石燃料であろうが原子力であろうが全く関係ないのです。

飯田哲也氏 エネルギー進化論 その2 2012 1月23日

環境エネルギー政策研究所飯田哲也所長.jpgエネルギー進化論.jpgエネルギー進化論その2です。
②自然エネルギーは不安定だ。
日本人の現在の生活レベルを維持し、精算などの経済活動を滞りなく行う為には、安定した電力供給が求められる。この事を考えると、日照時間によって発電量が左右され値太陽光発電や、風向きによっては電力供給が小さくなる風力発電などに頼るのは心細い。経済成長を続ける為に必要な電力を、自然エネルギーが安定的に供給できるのか疑問。
<②に対する反論>
そもそも、地熱発電・バイオマス発電・水力発電は「安定した自然エネルギー」です。その上で、太陽光発電や風力発電を一つひとつみると、たしかに「風任せ、お天道様任せ」と言われるほどに、発電量は変動します。しかし、それだけを強調して「安定供給に問題がある」と短絡するのは、一般の人を誤解させる、街がった言い方です。素人目には、如何にもそう思えるので「判り易いウソ」と言っても過言ではありません。
第1に、数が多いと平均かが生じます。太陽光発電も風力発電も、数が多くなればなるほど、全体としてみると、個別にみられる瞬時の激しい変動では無く、もう少しゆっくりとした変化に変わってゆきます。
第2に、変動それ自体が問題ではないという点です。平均化してもなお出力は変動しますが、それ自体が致命的な問題ではありません。なぜなら、需要も時々刻々と変動するからです。電力システム全体としてみると、変動する自然エネルギーの出力と変動するじゅようとの間を埋める事が出来れば、安定供給に何ら問題を生じません。
太陽光発電も風力発電も起床予測などである程度出力は予測できるため、当面は、天然ガスや水力発電・揚水発電など瞬時に対応できるピーク電力を活用する事で、需給調整は出来るのです。やがて蓄電池なども期待できる筈ですが、げんじょうではまだコストが高く、余り実用的ではありません。

飯田哲也氏 エネルギー進化論その1 2012 1月23日

エネルギー進化論.jpg環境エネルギー政策研究所飯田哲也所長.jpg
自然エネルギーの現代の旗手とも言うべき”飯田哲也氏”の「エネルギー進化論-第4の革命が日本を変える」が出版された。・・・ちくま新書(780円)
最近の飯田氏、昨年の3.11以来各所で引っ張り凧の状態で、多忙の中で、一体何時執筆しているのか?と思うほど新刊の書籍類が目白押し。その中でも今回の「エネルギー進化論」は非常に判り易く、このところの彼のセミナーの内容が良くまとめられていて読み易かった。
その中の序章で、「自然エネルギー会議派への反論」が展開されている。判り易く興味深いので抜粋してご紹介する。
①自然エネルギーのコストは高い。⇒資源エネルギー庁の試算では、太陽光発電のコストは1kwhあたり49円とされている。これは原子力発電の約8倍。家庭用の電気料金は1kwhあたり15円程度だから、太陽光発電は3倍のコストになる。そもそも先進国の中でも高く(OECD、30ヵ国中8番目)、さらに高い値段になれば、国民の生活を圧迫し、国内産業が競争力を失う。
確かに、太陽光や風力などの自然エネルギー源は無料で使用できるが、電力として利用が可能な形にするには、莫大な設備投資が必要になる。投資を回収するには長い時間がかかるし、採算が合わないのであるから、自然エネルギーを普及させるためにはほじょきんが必要不可欠となる。財政の再建をすすめなければならないリーのに、補助金を必要とする自然エネルギーは非現実的。
他方、原子力発電や火力発電の場合は、発電設備が既に整っているため、莫大な初期投資は不要。初期投資とランニングコストと言う点で、自然エネルギーは採算が合わないから、自然エネルギーに依拠した電力体制を実現させる事は不可能。
<①に対する反論>
自然エネルギーは高いという主張は、4つの点で正確。
第1に「高い」という場合、太陽光発電だけを対象としているが、風力や地熱発電等の他の自然エネルギーは、化石燃料や原子力と遜色ないコストに下がっている事実を無視しています。第2にその太陽光発電も近年の低コスト化を考慮していないと言う点で、これも不正確。「太陽光発電が49円/kwh」というデータは、いささか古いデータであり、急速にコストが下がっている最新の現実を反映していません。
現在では、欧州では20円/kwh前後、日本でも30円/kwh前後まで低コスト化が進み、さらに低コスト化が加速しています。

あけましておめでとうございます。 2012 1月 2日

漸く年が明けました。
昨年は、地震、津波に続く原発破壊と放射能汚染、対処に当った政府・行政諸機関のお粗末さの露呈、TPPや消費税論議の駆け引きののみの十論議の乏しさ等々、厭な事ばかりの年でした。
2012のある人からの年賀状に、「事は笑顔がいっぱいの年にしたいですね」とありました。本当にそう思います。
長野県レベルでの「自然エネルギー信州ネット」地域協議会での「自然エネルギー市民参加モデル研究協議会」の発足、実行部隊としての「上田市民エネルギー」太陽力㈱会社人としてこれらの取り組みに積極的に参加して行きたいと思います。
ややもすれば、行政主導?となってしまい、議論先行型で、真に上滑りの会議が延々と続きながら、ちっとも本来の自然エネルギーの推進、拡大、普及が図られないようなトレンドになりそうなのですが、何とか一つ一つ実績の積み上げによる(思考錯誤による推進)前向きな展開にしたいと考えております。
今年は、明るい太陽の下、全国日本晴れ、笑顔が絶えない地球環境を取り戻すために、力を惜しまず尽くしたいと思います。
力いっぱい、頑張ります。
2012 年頭所感であります。