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朗報か?(環境新聞から) 2011 2月26日

資源エネルギー庁.bmp太陽光発電・風力発電が今夏から「優先給電」へという話題。2/21付け「環境新聞」に掲載された。特記事項としてそのまま抜粋掲載する。
太陽光・風力発電 今夏から「優先給電」へ経産省、再生エネ拡大で電力系統ルール見直し
2011/02/21 21:08
[環境総合][環境新聞社].資源エネルギー庁は電力会社の送配電系統への再生可能エネルギー接続ルールを抜本的に見直し、風力・太陽光発電優位性を持たせる方針で、今夏にも実施の見通し。
 経済産業省資源エネルギー庁は再生可能エネルギー電源導入拡大のため一般電気事業者(電力会社)の送配電系統への接続・給電にかかわるルールを抜本的に見直し、風力発電と太陽光発電に優先性を持たせる「優位規定」を導入する。電力の供給力余剰時の対策として、安定供給に支障を及ぼさない範囲で、一般電気事業者が調達する500キロワット以上の事業用電力、太陽光の出力抑制を「最後尾」に位置付ける。非事業用の住宅用太陽光発電などについては、全国ベースで太陽光の導入量が1千万キロワット程度に達するまでの当面の間、出力抑制の対象にしない方針。エネ庁の次世代送配電システム制度検討会第1ワーキンググループ(座長・横山明彦東京大学大学院教授)が23日にまとめる報告書に盛り込み、今夏にも実施する。

欧州以上の優遇

 エネ庁は、再生可能エネ電源の系統への導入円滑化に向け、同電源の接続や給電等に関する系統ルールを整備することが重要と判断、昨年7月以降、次世代送配電システム制度検討会第1ワーキンググループの場および電力系統利用協議会(ESCJ)において系統ルールの抜本的見直しを検討してきた。

 ESCJは、送配電ネットワークを利用する事業者の公正な競争を確保する観点から03年の電力自由化拡大へ向けた電気事業法改正で、電力系統にかかわる設備形成、系統アクセス、系統運用などの業務支援を目的として04年に設立された。一般電気事業者、特定規模電気事業者(PPS)など利害関係者や学識経験者から成る中立的な経産相による指定団体。そのため、現行のESCJの系統ルールは、電力自由化に伴い電力系統を多数の事業者が利用することになったことを踏まえ、事業者間の公平な競争を確保する観点から、事業者別・電源別にかかわらず公平に取り扱うことを原則として策定されている。

 しかし、欧州では、再生可能エネ電源の導入円滑化を図るため、EU再生可能エネルギー利用促進指令により、再生エネ電源の系統への接続に当たり優先性を持たせる「優先接続」や優先的に給電させる「優先給電」の導入が検討されている。このため、日本もESCJの現行ルールを抜本的に見直し、「電源種別によらない取り扱いの原則」の例外を拡張し、欧州並みかそれ以上のルールに改めようというもの。

 例えば、「優先給電」つまり「軽負荷時の出力抑制」の順番については、現行ESCJルールにおいては長期固定電源(原子力、流れ込み式水力、地熱)の出力抑制を回避するため、[1]般電気事業者が調達した電源(火力発電、揚水式発電など)[2]取引所の活用による余剰電力の市場売却[3]全国融通(広域相互協力融通)の活用による余剰電力の域外への送電[4]PPSの電源の出力の抑制、の順になっており、事業用の太陽光発電や風力発電などの出力変動電源は「[1]」に位置付けられていた。

 しかし今回の見直しでは、安定供給確保の観点から、全国融通やPPS電源、長期固定電源の順番は変えないものの、一般電気事業者が調達した電源のうち、まず火力電源などの出力抑制、取引所取引の活用を経た後に、太陽光・風力電源の出力抑制を講じることにする。地域間連携線の混雑処理時の抑制順番についても、同様に再生可能エネ電源の優位性を確保する。

当面は500キロワット未満

 一方、一般的に事業用とされる風力発電やメガソーラーと、一般的に非事業用とされる住宅や中小工場の屋根に設置される太陽光発電等とは区別すべきと判断、「500キロワット未満」は非事業用と位置付ける方針だ。事業用は設備容量が大きく電力系統への影響も大きいことや技術的にも制御しやすいことに対し、非事業用は住宅用太陽光発電(4キロワット程度)のように1基当たりの設備容量が小さく、設置個所数がばく大なこと、また技術的にも遠隔からの制御が極めて困難なことから、当面は「500キロワット未満」の再生エ可能ネ電源は出力抑制の対象としないことにしたもの。

 ただし、太陽光発電の導入量が現在の200万キロワット程度から1千万キロワット程度に拡大すると見込まれる数年後には、非事業用についても出力抑制の検討を開始する方針だ。出力抑制する場合、当面は住宅用太陽光発電などのパワーコンディショニングシステム(PCS、直流・交流変換装置)に、出力抑制を行う時期・日付け等にかかわるカレンダー機能を付加することを想定している。また将来、電力系統において双方向通信が導入された際には、非事業用も、事業用と同様にESCJの系統ルールの対象にしていく方針。

 再生可能エネ電源の系統への「優先接続」についても、電力品質の低下を防ぎ、保安の確保を図るために定められている接続要件を見直す方針。例えば、風力発電の個別審査において、電圧変動幅が制限値(およそ±1〜2%以内)を超える場合、現在は電圧調整装置(SVC等)の設置が義務付けられているが、風車の出力制御や連携台数の調整などで代替できるように改める方針だ。

 これらの系統ルール見直しは、12年度に導入予定の再生可能エネ全量固定価格買い取り制度に先立ち、今夏にも実施される予定。